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内科 石原院長

 日本人の平均寿命は現在は80歳台ですがつい半世紀前頃はまだ60歳台でした。その当時私がかつて医学生であった頃、内科学の講議で教授から「最近、オーストラリアで肝炎を引き起こすウイルスが初めて見つかり、オーストラリア病原と命名された」と聞かされたのを今でもはっきり覚えています。これが後にB型肝炎ウイルスと同定されたわけで、この頃から電子顕微鏡などの機器による各種疾患に対する病態や病因の究明が様々な分野で進歩し、現在に至っています。またかつてはレントゲン検査しかなかった画像診断法は、今では超音波検査・X線CT検査・MRIなどが次々と開発され、診断技術も飛躍的に向上してきております。

そして、かつて太平洋戦争で日本の主力戦闘機であった零戦の機銃の製作に当たっていた技術者などによって開発され、今では世界中で使用されている胃・大腸内視鏡により、消化管疾患の診断・治療は大きく進歩しました。それまで日本人の死因の上位を占めていた胃癌は今では早期診断が可能になり、内視鏡での根治治療も可能になってきています。またその後、胃の中に住みつき胃癌の原因の一つとされるピロリ菌の病態も明らかとなり、その除菌治療もルーチンに行われるようになっています。当院では以前から週5日間をこれらの内視鏡検査・治療に当て、力を入れております。

 また前述したウイルス肝炎も、B型やC型肝炎が進行すると肝硬変や肝癌を発症する過程が明らかにされ、今では内服薬でウイルス駆除が可能となってきています。
このように消化器疾患だけではなく、すべての疾患での病態解明が進み、また医療機器や治療薬剤の進歩などに加え、栄養状態も改善されたことなどにより日本人の平均寿命は90歳に近づいている訳です。ところがこの高齢化が新たに認知症などの疾患を生み出し、死因として各種癌が増えてきていることも現実であり、これは人類の宿命なのかも知れません。

 私は大学病院では消化器疾患、とくに肝・胆・膵疾患を中心にその診断・治療・研究・教育に従事し、その後高齢者医療などの経験を経て、今後は聖ヶ丘病院にて総合臨床医として、消化器疾患だけでなく、糖尿病・高血圧・高脂血症・高尿酸血症などの生活習慣病や、高齢者の認知症や感染症など幅広い分野に対する診療を行うつもりですが、中でも、特に力を入れて診療に当たりたいと考えているのは脂肪肝と認知症です。

 脂肪肝とは肝細胞のうち30%以上に中性脂肪が貯まった状態です。その原因の多くは肥満や過度の飲酒などで、多くの方は積極的に治療の必要がない病態と考えているようですが、近年NASH(non-alcoholic steatohepatitis)と呼ばれる非アルコール性肝炎(脂肪肝)の中には10年以内に肝硬変に発展する場合もあることが解ってきています。私は今後、この脂肪肝に、患者様と共にその診断・治療に積極的に向き合っていこうと考えています。
また高齢化の進展に伴い、認知症の人とMCI(mild congnitive Impairment)と呼ばれる軽度認知障害の人が増加し、今や両者を合わせると1,000万人に上ると推測されております。認知症にはアルツハイマー型認知症の他、幾つかのタイプがあることが明らかになっていますが、診療の第一歩として大事なのはこのMCIの時点での早期診断が重要だと考えられております。私は今後、この認知症の早期診断にも重点的に取り組みたいと考えています。

私はこれからも様々な面で、地域の方一人一人に寄り添った治療に貢献したいと考えておりますので今後ともよろしくお願い致します。

内科
院長 石原扶美武